
平櫛 田中 Dentyu Hirakusi

平櫛 田中(1872〜1979)
(写真は「田中美術館」様より引用)
平櫛田中は岡山県後月郡西江原村の田中家に生まれた彫刻家です。
少年期に木彫に興味を覚え、明治26年5月中谷省古に弟子入りして木彫の手ほどきを受けて以来、百歳をこえても現役の彫刻家として活躍しました。その芸術の特徴は、優れた写実力と深い精神性、そして彩色にあるといえましょう。
初期の作品は、「無矣々々」「姉ごころ」などの日常身辺の人物をテーマとした身辺彫刻で、作者の人間性が感じられます。次の仏教的テーマを題材とした時期は、臨済禅の禾山老師の影響を強く受けて、「活人箭」「法堂二笑」「尋牛」など、翁の内面を表出した精神的な作品を数多く制作しています。
この時期に翁は、もうひとり人間形成のうえで大きな影響を受けた人に出会いました。それは、近代日本美術界の救世主で日本美術院の創立者岡倉天心でした。彫刻のうちに「理想」を表現するという田中芸術の真髄を、この出会いで翁は体得したのです。
仏教的テーマの彫刻期から後、,日本美術院研究所で3年間彫塑研究に没頭しますが、ここでの習練がやがて、個性的な、理想を刻み込んだ数々の名作「烏有先生」「転生」「五 浦釣人」「鶴しょう」などの誕生へとつながるのです。
そして、これらの時期を経て、田中芸術のすべてを結集し、20年の歳月をかけて完成したのが生涯の大作「鏡獅子」です。幾多の苦心と曲折を経て出来上がった、像高2メートルの彩色を施したこの作品は、現在国立劇場正面ホールに展示されています。
平櫛田中の作品の数々は岡山県井原市井原町にある「田中美術館」において見ることができます。
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平櫛 田中 年表
- 1872年
- 岡山県後月郡西江原村の田中家に生まれる。
- 1882年
- 広島県沼隈郡今津村の平櫛家の養子となる。
- 1893年
- 大阪の人形師・中谷省古に弟子入りし木彫の修行を行う。
- 1897年
- 高村光雲に師事。
- 1901年
- 日本美術協会美術展「唱歌君が代」出品 銀牌 受賞。
- 1907年
- 文部省第1回美術展(文展)「姉ごころ」(石膏)出品入選。
- 1908年
- 日本彫刻会第1回展 「活入箭」 出品。岡倉天心の推奨を受け師事。
- 1914年
- 日本美術院再興記念展覧会「禾山笑」等を出品 会期半ば同人に推挙。
- 1922年
- 横山大観・下村観山・木村武山の尽力で上野桜木町に住宅を建てる。
- 1930年
- 日本美術院の経営者に加わる。第17回院展「五浦釣人」出品。
- 1937年
- 帝国芸術院会員。
- 1949年
- 東京芸術大学教授。
- 1958年
- 畢生の大作「鏡獅子」を戦中のブランクを経て、二十年をかけて完成。(モデルの尾上菊五郎 (6代目)はすでに故人となっていた)。
- 1962年
- 文化勲章受章。
- 1965年
- 東京藝大名誉教授。
- 1972年
- 井原市が主催し平櫛田中賞を設ける。
- 1979年
- 自宅で逝去。享年108。
平櫛 田中 代表作
- 「子守」 (1907年) 田中美術館所蔵
- 「浅野長勲公寿像」 (1933年) 田中美術館所蔵
- 「鏡獅子試作頭」 (1938年) 田中美術館所蔵
- 「月姫」 (1951年) 田中美術館所蔵
- 「雲林先生像」 (1952年) 田中美術館所蔵
- 「西山公」 (1955年) 田中美術館所蔵
- 「鏡獅子」 (1958年) 東京国立近代美術館所蔵
- 「ウォーナー先生像」 (1970年) 田中美術館所蔵
- 「五十鈴老母」 (1972年) 田中美術館所蔵
- 「彫馬」 (1973年) 田中美術館所蔵
- 「舟観音」 (1975年) 田中美術館所蔵
- 「仙桃」 (1978年) 田中美術館所蔵

平櫛 田中「鏡獅子」(1958年)











